人間の矛盾と愛の本質

人間は、自分のためにしか泣けない。他人の悲しみや苦しみを見て涙を流すことがあるが、それは結局、自分が悲しいからだ。自分の大切な人がいなくなることで、自分が寂しくなったり、心が痛んだりするから泣く。それが人間の本質だ。

人間の心の中には、どうしようもない悪が存在する。それは決して変わらない。悪を完全に排除することはできないし、割り切ることもできない。だからといって、罰を与えようとするのは間違いだ。悪を許容することでしか、前に進むことはできない。

正しさや間違いには明確な答えはない。人間同士の価値観や意見は常に変わる。それでも、自分が信じる正しさを持ち続けることが大切だ。それが、自分自身の心に対して誠実であるために必要なことだ。

他人と無理に分かり合おうとする必要はない。分かり合えないなら、関わらずに住み分けることが最善だ。正しいとか正しくないという概念は、個々の人間の中で常に変化するものだ。だからこそ、自分自身が何を信じるのか、何を大切にするのかを心に留めておく必要がある。

他人に対して責任を感じるのも、結局は自分のためだ。自分が必要としているからこそ、相手に執着する。その気持ちを愛と呼ぶのだが、それは自分のエゴであり、自分の都合でしかない。それでも、それを愛と呼んで何が悪いのか。

人間は、自分のエゴや都合で結びつき、時に離れ、互いを必要としながら発展してきた。そんな矛盾を抱えたまま、それでも人間は生き続けるしかないのだ。愛とは、そんな自分勝手な感情の積み重ねに過ぎない。それでも、それを愛と呼ぶことに、何の問題があるのだろうか。

結局のところ、人間は自己中心的な生き物だ。他人のために涙を流すことはあっても、それは自分自身のためだ。そして、その自己中心的な感情を「愛」と呼び、美化している。それが人間の本質であり、矛盾だらけの存在なのだ。それでも、そんな人間の矛盾を受け入れることでしか、前に進むことはできない。